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操体法 導軆力学研究所はこころとからだの健康を考えます。

TEL. 0852-66-7151

〒699-0401 島根県松江市宍道町宍道1394

操体とはWhat is SOTAI

操体とは


操体および操体法は仙台の医師 橋本敬三(1897〜1993)によって創案されました。しかし、そこに辿り着くには非常に長い時間と試行錯誤がありました。

昭和初期、未だ30代初期の青年医師であった橋本敬三先生は、自身が治療を行う中で、西洋医学の内科的疾患処置に比べ「整形外科的」疾患が治療に困難であることに頭をいためていました。そこで来院する患者の動向を調べたところ、その多くが町の民間療法家の元を訪ねていることに気付きました。そして、鍼(はり)・灸・按摩(あんま)・マッサージなど実に様々な民間療法家達が各々のやり方によって、効果をあげていることも知りました。そこで青年橋本医師は、そんな町の”名医たち”を自身の治療所に招き教えを乞いました。医師の地位が現在以上に高かった当時、町の名医達は喜んで橋本医師に自身の秘伝を伝授したそうです。

正體術(せいたいじゅつ)との出会い

様々な手技との出会いがあった中で、特に橋本敬三先生が興味を引かれたのが、高橋迪雄(みちお)氏が考案された「正體術矯正法」でした。知人の父君が正體術によって健康を回復されたことが、その切っ掛けになったようです。

この正體術矯正法は骨格の不正を正すことで、体の本来の機能を回復させるという考えであり、後の橋本先生の”操体法”に至るための考え方のベースになったと思われます。

橋本先生はこの正體術を高橋先生の直弟子、奥村隆則氏に函館での外科医時代に学ばれたようです。この奥村氏の正體術は高橋氏の正體術とは違い、「痛くない方、楽な方の最大可動極限まで動かして、呼気とともに瞬間急速脱力する」と言うスタイルでした。本来、高橋氏の正體術は”やりにくい”、”痛ぎもい”方向へ動かすといった、高橋氏独得のスタイルだったようです。

その後、本筋である高橋式正體術矯正法に関しては、やはり天才高橋迪雄氏独自の診立てあってのもので、高橋氏亡き後は後継者が育たず、現在では高橋氏が行っていた正統の正體術は途絶えてしまいました(新正體術として現在も正體術矯正法は伝承されています)。
    

橋本理論の確立

橋本先生は様々な民間療法家達の治療を見る中で、民間療法家達は患者を治すことは出来るが、何故治っているのかを理論的に説明出来る療法家が居ないことに気付きました。橋本先生は自身も十数年間、民間療法に取り組んでいく中で、彼等は自覚は無いけれど、一貫しているのが「運動系の歪み」を是正しているという結論に辿り着きました。

運動系の歪みから来る内部変化の流れ
  1. ストレッサーにより骨格の組み合わせがズレ
  2. 連結する横紋筋異常緊張が起きる
  3. 過剰運動で筋が異常緊張に陥り、緩解しない時にも骨格の配列にズレが起きる
  4. 筋の異常緊張が持続すれば、これらを包接する軟部組織に内圧の変化が起きる
  5. 内圧変化が起これば、系内配線の抹消循環系及び、神経系は一次的には力学的に、二次的には生化学的に、アンバランスを生じる
  6. 血液循環障害は酸素欠乏をもたらし、受信器はこれらを異常感覚として受け取る
  7. そして、最終的には機能障害へと進む
この様に橋本先生の中で、「ボディの歪み」こそが、様々な疾患の根源であり、これらを調整することが歪体を正し、健康を取り戻すことになるのだと、確信へとなって行きました。
     

黎明期の操体法

橋本敬三先生が初期に行っていた「操体法」とはいったいどんなものだったのでしょうか?これは、先述した高橋迪雄氏の正體術矯正法と類似した、痛い方から痛くない方へ、辛い方から辛く無い方へと言った、二者択一の”運動分析”が施術の中心でした。あくまでも主体は操者であり、患者は操者の指示に従い、左右・前後など運動感覚差をききわけ、瞬間脱力を行う、回数も操者が指示する様に2〜3回行っていました。これが現在に至るまで行われている操体法初期の操法です。
     

操体の転換期

回数や脱力のタイミングを操者側でコントロールしていた初期の施術から、よりクライアント本位の『気持ちよさ』をききわける施術へと徐々に変わっていきました。

「快適感覚」をききわける臨床への変遷

試行錯誤を重ねて行く中で、”楽”をききわける運動分析法から、一つ一つの動きの感覚をききわける「感覚分析」を三浦寛先生を中心に発表されました。
橋本理論の集大成とでも言うべき
「快適感覚」をききわける真の”操体法”がここに誕生したのです。

この
”感覚分析”は従来の操者の決めつけ的なやり方から、操体本来の”自分自身のからだに委ねる”と言う、真の「自力自療」を体現した形となりました。

施術の主人公はあくまでもクライアントで、施術者は黒子の様な存在であることが、本来あるべき姿なのです。
車で例えるなら車を運転するドライバーが当人で、施術者はカーナビの様な存在であることが理想です。
目的地に上手くたどり着けるように、サポートすることが施術者本来の役割なのです。

ですから操体には
”みたての名人”は存在しても、治しの名人はいないのです。
何故なら自分の身体を一番分かっているのは自分自身であり、他人ではないのです。だからこそ、眠っている自然治癒力を呼び覚ます、ボディ・ナビゲーターが施術者であり、正しき回復の道へと導く存在なのです。
     

「感覚分析」の実際


「運動分析」「感覚分析」の大きな違いは、「動診」にあります。この”動診”は操体の特徴的なみたてで、通常は「問診、視診、触診」が一般的なみたてですが、操体ではボディを動かして確認するという「動診」が存在します。

「初期分析」は二者択一の運動分析(楽・苦)ですが、「感覚分析」の特徴は動診が
「一極微(いちごくみ)」であると言うことです。
この「一極微(いちごくみ)」とは一つ一つの動きが分析対象になり、その一つ一つに「気持ちよさ」といった”快適感覚”があるのかをききわける分析法です。

例えば腕を捻るといった動きをとってみると、前腕部を内旋・外旋する際も、初期分析であれば選択肢は一つですが、
感覚分析であれば、内旋の動きと外旋の動き二種類それぞれの動きに対して感覚のききわけを行います。

 初期分析と感覚分析の比較表
  運動分析  感覚分析
動診の方法 動診の方法は二極対比です。二者択一的に
対となる動きを比較対象し、どちらの動きが
楽か辛いかの運動感覚差を確認する
動診の方法は一極微
一つ一つの動きを分析し、その一つ一つの動きに
快適感覚があるかをききわける診断法です
動診の目的  楽な動きを選択し、生体のバランス制御を
はかるのが目的
 
動診の目的は感覚分析にあります
操 法 楽な運動コースにのせるのが目的  身体が要求してくる気持ちの良さを操法に選択 
 たわめの間  2〜3秒、そのままの状態をキープする 最高に気持ちの良いところで「快適感覚」が消える
まで充分に味わう
 
脱力の設定 全身の力を一気に瞬間脱力させる  気持ちの良さが無くなった後の身体の要求感覚に
委ねる、快適感覚が強いほど瞬間急速脱力には
ならず、全て身体の要求に委ねる必要がある
脱力後の設定 脱力後、落ち着いたら元の体勢にゆっくり
戻す
 
脱力後の爽快感があればそれも味わい、
落ち着いたら元の状態に戻す
回数の設定 操者の指示によって2〜3回繰り返す  あくまでも当人の感覚に委ね、もう一度
味わってみたい要求感覚があるかを、
身体にききわけてもらう 

表を見ても分かるように「感覚分析」は身体にききわけ、身体の要求感覚に全てを委ねる動診〜操法のプロセスを通っており、そこに操者側の決めつけは一切存在しません。

我々の身体の本質は”楽””快”どちらを求めているのでしょうか?本質は間違い無く”快”を求めており、決して楽では無いのです。これは身体にききわければききわけるほど明確になり、至極の心地よさは最高の治癒力となって、我々に様々な福音をもたらします。この最高の治癒力は「快適感覚」と言う”体内感覚”に強く存在し、楽か辛いかと言った物理的要求には限界があるのです。


       

更なる操体(SOTAI)へ(皮膚分析への展開)

操体は創始者橋本先生が、体系付けはしたが完成では無いと仰ったと聞きます。
時代と共に社会環境の変化や様々なストレスに曝される現代人にとって、原因不明とでも言うべき疾患が増加しているのも現実です。

現在、日本には厚生労働省研究班の調査で、腰痛の人は全国で推定2800万人いると推定されています。
そして40代から60代にかけては、約40%もの方が腰痛に悩まされ、その80%以上は、原因不明(背骨のがん、腰椎骨折、ヘルニア、脊柱管狭窄症などに該当しない)と言われています。


腰痛には、「ストレス」が影響し、鬱状態、仕事上の不満、人間関係の悩みで、腰痛になったり、治りにくくなったりするとする論文には十分な根拠があるとレポートされています。

このストレスから来る様々な症状に対して、
『第三の脳』として今、脚光を浴びているのが『皮膚』です。
『皮脳同根』と言う言葉が有ります。これは皮膚と脳とは同じルーツを持つので、非常に密接な関係を持っているという意味です。

人間の皮膚は細胞の一番外側の『外胚葉』から派生したものであり、脳も又、『外胚葉』から派生したものであることから、皮膚と脳はルーツが同じであると言われています。
人間の皮膚には『セロトニン』『ドーパミン』『アドレナリン』などの脳内物質を皮膚受容体があり、皮膚は最高のセンサーであると言えます。

この
「皮膚」へのアプローチこそが、更なる快適感覚への本質となる「身体の無意識」へのアプローチへとなって行くのです。
この皮膚へのアプローチはそれまでの外骨格を動かして試みていた操法とは異なる、より緻密な内部感覚への問いかけであり、”運動分析”、”感覚分析”では為し得なかった、身体の深部へ到達する根本治癒へと繋がって行きます。

皮膚は身体にとって記憶のハードディスクであり、皮膚は本人が忘れてしまっている過去の
「傷・怪我・骨折」など、その病歴など全てを記憶しているのです。
ですから皮膚への問いかけとは、今現れている症状に対しての対処的療法では無く、過去の病歴も含めた総合的アプローチであると言えます。

これからの操体

今、時代は大いなる転換期を迎えています。私が開業した数十年前とは来所される方の症状も大きく変化しています。開業当初はいわゆる単純な”肩こり・腰痛”といった疾患が殆どを締めていましたが、現在は原因がよく分からない痛みや複雑な社会環境による過度なストレス性疾患など、複雑さを極めています。

この状態は今後、更に進んで行くであろうと思われます。その様な、ますます複雑化していく現代社会において、私達、臨床家が出来ることは、大きく言えば、現代人の「心身ともの健康」を取り戻す手助けをすることであると考えます。特に昨今は”ストレス性疾患”を抱える方が多く見られ、混迷した時代を象徴していると言えます。

この様な時代だからこそ、操体で言うところの「身体にききわける」こと、そのものが現代人にとって大いなる救いになると考えます。現代人は忙しく日々を過ごす中で、ともすれば何かに追い立てられる様に毎日を過ごしています。
自らの内なる悲痛な声すらききわける余裕も無く過ごしている中で、心と身体が発するSOSの信号が聞き取れなくなってしまっているのです。

どの様な症状、疾患であっても必ず発病するまでには微細な信号を発しており、それに気付くことが重篤化しないためには必要なのです。操体における感覚のききわけはこの、微細信号をききわけるための重要な”学習”であり、この学習を重ねることにより真の健康を会得することが可能となるのです。

これからの操体のあるべき姿は、皮膚への分析により確立された、どの様な症状疾患にも対応出来る操体から、よりクライアントにストレスを与えない、次世代の操体へと更に進化し続けています。


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